「北海道の粗末な家」

前回の札幌では、もうひとつ貴重な体験が。
昨秋よりいろいろ相談にのっていただいている北海道住宅新聞 http://www.iesu.co.jp/
白井康永編集長のご自宅を訪問させていただき、
白井さん流の北海道魂に触れることができました。

振り向けば市内が見渡せるほど坂道を登ったところに、
屋根に分厚く雪を載せながら、燐と立つ切妻屋根の住宅。
3年前に岩見沢の建築家中村よしあきさん http://www17.ocn.ne.jp/~nyk/
の設計で、白井さん自身のリクエストである「北海道の粗末な家」が目指されたようです。

粗末な家?
たしかに、床には2×6の道産トドマツがワイルドにビスで打ち付けられ、
木構造がむき出しになった天井には、パイプダクトや温水配管が縦横に走っています。
中の芯材が剥き出しのまま片面に合板が張られた扉にもびっくりしましたが、
ほとんどの室内壁仕上げにいたっては、通常の下地材であるプラスターボード打ち放し!です。

しかし室内を案内していただくにつれて不思議な安らぎが。
この安らぎって・・
せっせと森から本当に必要な材だけを拾い集め、自ら編み上げた巣の中でひな鳥を暖める、
そんな、母鳥のいる巣の優しさってこういう感じなんじゃないか・・

室内に空気を循環させる空調システムや、
断熱材や開口部の仕様など、優しく暖かい室内環境づくりにかけたこだわりのお話を聞くにつれ、
ますます、白井さんが親鳥のように思えてしまったのでした。


建築家×パティシエ@札幌

札幌に通うようになって、少しずつ新しい出会いが増えています。
札幌で仕事をする札幌人との出会いから、おぼろげだった札幌魂が輪郭を得つつあるようです。

今回は昨夏知り合った建築家の塚本高正さんがオープンしたスイーツのカフェLe Vantailを訪問しました。
オープンしたばかりの12月に一度訪れましたが、その日は定休日。
今回ようやく、スイーツを食しながら、甘くてゆったりした時間をすごすことができました。
http://www.vantail.net/index.html

このお店、塚本さんはインテリアをデザインしたことにまったくとどまりません。
お店のオーナーでもある塚本さんが、皿や、椅子やコップなどなど・・
スイーツを楽しむための、すべての舞台装置を選び抜き、
同じく札幌で活躍するパティシエ、土井大輔氏と共同でデザイン、プロデュースしたスイーツは、
塚本さん自身によってフランス語でユニークに名づけられている徹底ぶりです。

しかも、その舞台装置すべては、建築家×パティシエから、生活者(お客)へ、
ライフスタイルのイメージを媒介するメディアの役割もになっていて、
ここは生活者が<ライフスタイルをつくる/そのための小道具=商品を買う>ための
窓口となることさえが意図されているのです。
そこで買えるブツには当然、塚本さんの設計するケンチク(これは大道具ですね)も含まれていて、
お店のガラスの向こう側にのぞける、塚本さん自身の設計事務所の明かりが(下の写真、右の窓の向こう)
お客に手招きしているかのよう。
tsize1.jpg

建築家は、パティシエさんと共にカウンターの向こうに立っています。
tsize2.jpg

そして、皿の上の芸術作品が、建築家によって運ばれてきます。まさにスイーツのランドスケープ、
粉砂糖が降り積もる道にそって、チョコレートたちが街並みをつくっています。
この冬景色は、シャンパンとのセットで冬季限定のメニューということ。
tsize3.jpg

スイーツをいただくのって、ほんとうに贅沢な気持ちにさせてくれますね。
ライフスタイルデザイナーとしての建築家×パティシエという新しい職能の行方がとても気になります。